貴方が、愛おしい、と
哭く涙さえ ―――――
貴方は気付かぬ振りを、
為さるの 、 ね ――――。
俗名 / 橘 業千 / たちばなのなりゆき
法名 / 千慈 / ユキジ 人間 / ♂ 172 / tl 28 / Ag
Gust o / 両刀 雰囲気次第
Frase / 耽美 比喩 揶揄 心理 物語 戯曲<Drama> セクハラ
Serious Dark 色艶 情事 茫 惑 孤独 恐怖 切
中文度長文長考傾向
N ot / 描写無 無敵 過度確定 糞尿飲食 血腥き事
Fisonomia /
髪 / 黒鴉 癖有 双眸 / 黒墨垂目 口吻 / 薄笑み
膚 / 象牙膚 目許に黒子一つ 躰 / 腹筋有、筋張りて無骨
衣 / 直衣 薄桜 / 縹 / 色 烏帽子
DATe / 蔵人頭 - 頭弁
「 おや、… 随分と、遠い処迄、袖を曳かれて仕舞った、樣だね 」
男は、紅を孕む唇で、ふふ、と笑った。
「 可愛いひと、 今夜はあなたを、離したくない … と言ったら、
私の、この狂う程の想いを、あはれだと想ってくださるのかな。 」
、夢を見た。 吾が寝所に、袖を曳かれるやうに。
ふ――と現れる、爾、姿。 若い、娘で在れば、男でも在り、歳を召した方でも在る。
其れは概ね“人”の姿を為て、惑う樣に立ち尽くす。故にこそ、男はそつと指を伸ばし続けた。
ねェ、此方へいらっしゃい、―――と。
世を越えた、と囁く聲に、眸を細め、て―――。
朝が散る爾頃に、陽に透ける彼等を見送る。幾度も、幾度も。
B G / 今は、昔。
治世君に仕え、左近衛少将と為り乍、平穏を愛するが所以に“及び”少将、“瀞”少将と揶揄された。
遠き治世君の血を曳きて、親王宣下を賜わるが、後宮の中で母は、随分と苦労為たものだ。
元服為る前、に臣籍降下を賜わりて、橘の姓を与えられた。
然し在る日、斎院樣に手付いた、と誹られ遠つ方に流された。
世の果敢無さを思い知り乍、都を想い、唯哭いていた。
弾いた琵琶さえ哭く樣で、男は唯、狂う程に哀しんだ。都を忘れ得ぬ、否―――あなたを、忘れ得ぬ。
其れから数年の時を過ぎ―――。今上帝、主上樣に御許しを賜り、懐かしき都に還る事と相為った。…の、だよ。
帰って、故は、主上様の寵臣と為て盛り立てられ、弁官と為て親しんだ。
そう、そういえば、 ―――。
未だに、夢を見るのだ。夜と月がほろほろ、と睦う浅き夢現のはざまにて。
袖を、曳く。ひかれる。―――。私は、ね。何處か夢心地で、見知らぬ世を見ていた。
其処は、恐らく黄泉国、だったのだろうと思うのだよ。
―――それから、ね、時々、彼の場所の、夢を視る樣に為ったのだ。
不思議そうな、顔をするね。ふふ、そう、此れは、夢、なのかな。
其処には、珍しい物がたくさん、ある。たくさん、いる。彼の樣な、怪異なら、私は歓迎するのだけれど。
ひたり、と双眸を細め、擽るやう息を溢した。
「 私は、夢を視ているのかな。 其れとも、狂うて仕舞うたのかな。
…、 どうせなら、何処か遠くへ、貴方と消えてしまいたい、ずつと、焦れているのに。 」
ほろほろ、と夜が明けていく。袖を曳いたのは、誰。袖を曳かれたのは、誰。
世と現実を往ったり来たり、男は、全てを、夢、だと、言った。
――――――――――――――――――――――――――――
貴方はとても、酷い人。

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貴方は気付かぬ振りを、
為さるの 、 ね ――――。
俗名 / 橘 業千 / たちばなのなりゆき
法名 / 千慈 / ユキジ 人間 / ♂ 172 / tl 28 / Ag
Gust o / 両刀 雰囲気次第
Frase / 耽美 比喩 揶揄 心理 物語 戯曲<Drama> セクハラ
Serious Dark 色艶 情事 茫 惑 孤独 恐怖 切
中文度長文長考傾向
N ot / 描写無 無敵 過度確定 糞尿飲食 血腥き事
Fisonomia /
髪 / 黒鴉 癖有 双眸 / 黒墨垂目 口吻 / 薄笑み
膚 / 象牙膚 目許に黒子一つ 躰 / 腹筋有、筋張りて無骨
衣 / 直衣 薄桜 / 縹 / 色 烏帽子
DATe / 蔵人頭 - 頭弁
「 おや、… 随分と、遠い処迄、袖を曳かれて仕舞った、樣だね 」
男は、紅を孕む唇で、ふふ、と笑った。
「 可愛いひと、 今夜はあなたを、離したくない … と言ったら、
私の、この狂う程の想いを、あはれだと想ってくださるのかな。 」
、夢を見た。 吾が寝所に、袖を曳かれるやうに。
ふ――と現れる、爾、姿。 若い、娘で在れば、男でも在り、歳を召した方でも在る。
其れは概ね“人”の姿を為て、惑う樣に立ち尽くす。故にこそ、男はそつと指を伸ばし続けた。
ねェ、此方へいらっしゃい、―――と。
世を越えた、と囁く聲に、眸を細め、て―――。
朝が散る爾頃に、陽に透ける彼等を見送る。幾度も、幾度も。
B G / 今は、昔。
治世君に仕え、左近衛少将と為り乍、平穏を愛するが所以に“及び”少将、“瀞”少将と揶揄された。
遠き治世君の血を曳きて、親王宣下を賜わるが、後宮の中で母は、随分と苦労為たものだ。
元服為る前、に臣籍降下を賜わりて、橘の姓を与えられた。
然し在る日、斎院樣に手付いた、と誹られ遠つ方に流された。
世の果敢無さを思い知り乍、都を想い、唯哭いていた。
弾いた琵琶さえ哭く樣で、男は唯、狂う程に哀しんだ。都を忘れ得ぬ、否―――あなたを、忘れ得ぬ。
其れから数年の時を過ぎ―――。今上帝、主上樣に御許しを賜り、懐かしき都に還る事と相為った。…の、だよ。
帰って、故は、主上様の寵臣と為て盛り立てられ、弁官と為て親しんだ。
そう、そういえば、 ―――。
未だに、夢を見るのだ。夜と月がほろほろ、と睦う浅き夢現のはざまにて。
袖を、曳く。ひかれる。―――。私は、ね。何處か夢心地で、見知らぬ世を見ていた。
其処は、恐らく黄泉国、だったのだろうと思うのだよ。
―――それから、ね、時々、彼の場所の、夢を視る樣に為ったのだ。
不思議そうな、顔をするね。ふふ、そう、此れは、夢、なのかな。
其処には、珍しい物がたくさん、ある。たくさん、いる。彼の樣な、怪異なら、私は歓迎するのだけれど。
ひたり、と双眸を細め、擽るやう息を溢した。
「 私は、夢を視ているのかな。 其れとも、狂うて仕舞うたのかな。
…、 どうせなら、何処か遠くへ、貴方と消えてしまいたい、ずつと、焦れているのに。 」
ほろほろ、と夜が明けていく。袖を曳いたのは、誰。袖を曳かれたのは、誰。
世と現実を往ったり来たり、男は、全てを、夢、だと、言った。
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貴方はとても、酷い人。

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